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現在ポスドクや助教をされておられる方の中には、「自分がもし民間企業に転職したらどのくらい年収が変わるんだろうか?」と疑問に思われている方も多いと思います。
企業と大学の年収に関する情報は、知りたいと思ってもなかなか手に入れられませんよね。
この記事では、そんな気になる民間企業転職前後の年収情報を内訳別(給料・ボーナス・福利厚生)に紹介していきます。
本記事を読むことで、ポスドクと企業研究所における給料事情の“リアル”を知ることができますよ。
ポスドク・助教の民間企業転職:年収はどのくらい上がるの?
ポスドク・助教が民間転職することによって、どのくらい年収が変わるかをお示ししていきます。
特任助教だった私が民間企業に転職したあとに、実際に支給された年収(給料・ボーナス・福利厚生)は以下のとおりです。
大学・特任助教 | 企業・研究員 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
29歳 (概算) | 30歳 (概算) | 31歳 (概算) | 29歳 (実績) | 30歳 (実績) | 31歳 (実績) | |
給料 (基本給/業績給/残業代) | 360万円 | 360万円 | 360万円 | 353万円 | 432万円 | 768万円 |
ボーナス | 0万円 | 0万円 | 0万円 | 76万円 | 138万円 | 182万円 |
福利厚生 (家賃補助/有給/健康補助) | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 68万円 | 73万円 | 351万円 |
合計 | 363万円 | 363万円 | 363万円 | 497万円 (約1.4倍) | 643万円 (約1.8倍) | 1301万円 (約3.6倍) |
※額面金額で比較
※大学の年収は、在籍時の収入実績と契約内容をもとに算出した概算金額です
企業入社3年目がとんでもない数値になってる…
私自身もこんなにもらえるんだと大変驚きました。
そのあたりの詳細も含め、各項目ごとに詳しく説明していきますね
年収比較①:給料 (基本給・業績給・残業代)
まずはアカデミアから民間企業へ転職した際の「給料の違い」について見ていきましょう。
大学・特任助教 | 企業・研究員 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
29歳 (概算) | 30歳 (概算) | 31歳 (概算) | 29歳 (実績) | 30歳 (実績) | 31歳 (実績) | |
給料 (基本給/業績給/残業代) | 360万円 | 360万円 | 360万円 | 353万円 | 432万円 | 768万円 |
ボーナス | 0万円 | 0万円 | 0万円 | 76万円 | 138万円 | 182万円 |
福利厚生 (家賃補助/有給/健康補助) | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 68万円 | 73万円 | 351万円 |
合計 | 363万円 | 363万円 | 363万円 | 497万円 (約1.4倍) | 643万円 (約1.8倍) | 1301万円 (約3.6倍) |
私は3年任期の特任助教だったときの給料(基本給・業績給)は、3年間定額で年間360万円でした。
3年間は昇給の可能性はなく、また、裁量労働制のため残業代や休日出勤手当などもゼロです。
継続採用無しのポジションでしたので、30歳を超えるタイミングで次のポジションを探す必要もありました
【入社1~2年目】特任助教時代から給料維持→早期昇進で大幅昇給
3年任期の1年目を終えるタイミングで民間企業に転職したのですが、初年度の給料(基本給・業績給・残業代)は、特任助教時代とほぼ同額の353万円でした。
転職して2年目には一階級昇進したためさらに給料もあがり、30歳での年間の給料は432万円になりました。
ただし、この給料にはボーナスや福利厚生などは含まれていません。
大学時代は年俸制で、いわゆるボーナス分も含まれての金額でしたので、初年度の給料でも十分に満足していました
私の所属する研究所は、若手でも比較的自由な発想で研究を進められる環境のため、2年目になると実験が長引いて残業することも増えてきました。
しかし、その分もしっかりと残業代が支給されるので非常に助かっています。
自分な好きな研究で長時間勤務になっても残業代が出るのは嬉しいですね
【入社3年目】海外駐在で給料大幅アップ/手取り年収2.5倍
さらに大きく給料が伸びたのが、入社3年目のときでした。
海外駐在研究員として抜擢され、欧米のとある国へ海外転勤することとなりました。
一般的に、日本企業に所属する海外駐在員へは手厚い待遇が用意されており、額面年収が
2年目:432万円 → 3年目:768万円(約1.8倍)
に大幅に増加しました。
昇給幅がすごすぎる…
海外駐在中は「所得税:一部会社負担、住民税:非課税」となりますので、手取り年収は2倍以上となります。
残業代は出ませんが、みなし残業として40時間/月の残業代がすでに給料に組み込まれています。
欧米の労働スタイルに合わせてほとんど残業することはありませんので、残業代がまるまるもらえている点も嬉しいところです。
年収比較②:ボーナス
次に、アカデミアから民間企業へ転職した際の「ボーナスの違い」を紹介します。
大学・特任助教 | 企業・研究員 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
29歳 (概算) | 30歳 (概算) | 31歳 (概算) | 29歳 (実績) | 30歳 (実績) | 31歳 (実績) | |
給料 (基本給/業績給/残業代) | 360万円 | 360万円 | 360万円 | 353万円 | 432万円 | 768万円 |
ボーナス | 0万円 | 0万円 | 0万円 | 76万円 | 138万円 | 182万円 |
福利厚生 (家賃補助/有給/健康補助) | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 68万円 | 73万円 | 351万円 |
合計 | 363万円 | 363万円 | 363万円 | 497万円 (約1.4倍) | 643万円 (約1.8倍) | 1301万円 (約3.6倍) |
先程も少しお話ししたように、私の就いていた特任助教ポジションは年俸制でしたので、いわゆる“ボーナス”は1円もありませんでした。
毎月淡々と税引き後25万円が振り込まれ続けるのみでしたので、「少し味気ないなあ」と感じていました
【入社1~2年目】初年度は控えめ、2年目は138万円の賞与支給
企業転職した後は、一年目からボーナスをもらうようになります。
転職直後は評価する勤務実績がなかったのと、コロナによる業績悪化の影響もあり、初年度ボーナスは年間68万円でした。
しかし2年目には、勤務業務評価の積み増しと会社自体の業績回復が相まって、年間138万円の支給となりました。
ボーナスが支給される6月と12月はテンションが上がりますよね
【入社3年目】海外駐在中は特別な支給額調整で増額支給
入社3年目は海外駐在期間となりますが、海外駐在員へは特別に支給額が調整されます。
駐在国と日本との物価差や、海外駐在というストレスのある(と会社が一律に想定している)駐在員へのねぎらいという意味で、通常の支給分からさらに増額した賞与がもらえます。
そのため額面賞与は、
2年目:138万円 → 3年目:182万円(約1.3倍)
に増加しました。
年収比較③:福利厚生 (家賃補助・健康補助・有給休暇)
年収内訳の3つ目として、アカデミアから民間企業へ転職した際の「福利厚生の違い」についてお話しします。
大学・特任助教 | 企業・研究員 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
29歳 (概算) | 30歳 (概算) | 31歳 (概算) | 29歳 (実績) | 30歳 (実績) | 31歳 (実績) | |
給料 (基本給/業績給/残業代) | 360万円 | 360万円 | 360万円 | 353万円 | 432万円 | 768万円 |
ボーナス | 0万円 | 0万円 | 0万円 | 76万円 | 138万円 | 182万円 |
福利厚生 (家賃補助/有給/健康補助) | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 68万円 | 73万円 | 351万円 |
合計 | 363万円 | 363万円 | 363万円 | 497万円 (約1.4倍) | 643万円 (約1.8倍) | 1301万円 (約3.6倍) |
大学の特任助教時代は家賃補助や健康補助などの直接金銭を支給してもらえる福利厚生はありませんでした。
また、給料を支給される上で休暇が取れる有給休暇制度についてですが、もちろん大学にも有給は制度上使える状況にありました。
しかし、研究室の空気的にあまり有給を取れるような雰囲気ではなく、しっかりと有給消化できたのは年間1日~3日程度でした。
本当は年間10日程度は強制的に有給を取らないといけない日があるのですが、書類上消化していても出勤するのが当たり前になっていました
【入社1~2年目】家賃補助4万円/月がありがたい
企業転職した後は、家賃補助制度で年間48万円ほど、健康等補助制度で年間5~20万円ほど支給してもらえるようになりました。
有給も年間10~15日程度は消化できるのが当たり前の環境で、支給型の福利厚生だけで年間70万円程度支給してもらえています。
これらの他にも、退職金積立や使いやすい育児休暇制度、家族手当なども利用できるので、企業の福利厚生は本当に手厚いなと感じます。
【入社3年目】海外駐在中は家賃・治療費・教育費がほぼ全額支給される
海外駐在中は給料や賞与も大幅に増額されていましたが、福利厚生も別の会社のように大幅に充実します。
日本勤務時は最大でも家賃の半額分しか支給されませんでしたが、海外駐在中は家賃が全額支給されます。
しかも、光熱費やインターネット代、家具償却費も含めて支給されますので、生活費が大きく抑えられます。
生活費の大部分が支給されるってことですか。
物価の高い国での駐在でも安心ですね
また、病院にかかる際の費用や、子供の教育費もほぼ全額支給されます。
もちろん日本勤務時にはこのような待遇はありませんので、桁違いに素晴らしい待遇といえますね。
これらの手当等を含めると、福利厚生の総額は、
2年目:73万円 → 3年目:351万円(約4.8倍)
となります。
給与や賞与と比較しても、非常に大きな増額となりました。
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私自身も試してみましたが、現状の年収450万円のところ、累積ユーザーのオファー年収実績672万円という結果が出ました。
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【ポスドク・助教】民間企業への転職を成功させるには?
ここまでで、民間企業転職前後の年収情報を内訳別(給料・ボーナス・福利厚生)についてくわしく紹介してきました。
民間企業の待遇の良さは理解できました。転職も視野に入れたいのですが、具体的にどのように行動すれば企業転職を成功させることができるのでしょうか?
現在ポスドク・助教をされておられる方が、民間企業転職を成功させるコツは以下の4点です。
- 【時間の確保】他人を活用して効率的に動くべし
- 【求人探し】非公開求人を探すべし
- 【職務経歴書】企業に受け入れられやすい言葉に「翻訳」すべし
- 【面接対策】企業側の懸念点を理解し面接官を安心させるべし
特に、民間企業の研究職への転職を考えている人は「非公開求人」を徹底的に探すことが重要になります。
大衆向けの就活・転職サイトに登録されている求人を確認したことがある人は多いと思いますが、実はそれらの公開求人の他に、大々的には公開していない非公開求人というものが存在しています。
研究職ポジションなどの専門性が高い職種は、競合企業に内部戦略を知られないように求人を完全公開しないことが多いのです。
非公開求人というものがあるんですね!?
でも、どうやって探せばよいのでしょうか?
非公開求人を確認するための一つの方法は、直接企業に問い合わせてみることです。
もしあなたが、学会や特許情報などを通じて「この企業はこの研究をしているはず」という情報を掴んでいるのであれば、履歴書とともに直接企業に問い合わせることで非公開の求人情報を入手できる可能性があります。
ただ、やはり1社1社直接企業に問い合わせるのも非常に骨の折れる作業になります。
効率的に非公開求人情報を手に入れるには、「転職エージェント」が持っている非公開求人リストを入手するのがおすすめです。
転職エージェントは各企業とマッチングする求職者にだけ求人情報を提示していることから企業と親密な関係を築いることが多く、秘密性の高い非公開求人情報を多数保有しています。
優秀な人材を多数紹介してきた転職エージェントへの信頼性の高さによって、企業側も非公開求人という秘匿性の高い情報を特別に渡しているのですね
そのような非公開求人情報を手に入れられるだけでなく、職務経歴書の添削や面談対策まで、徹底してあなたの転職活動をサポートしてくれます。
ここまで手厚くサポートしてくれる転職エージェントですが、企業からの報奨金で運営しているため転職希望者は完全無料で利用できます。
完全無料で利用できますので、今すぐに民間企業転職を考えてなくても「良い求人が出てきたら紹介してください」とエージェントに依頼しておくのもよいですね
アカデミア出身者 (ポスドク・助教・准教授)に おすすめの転職エージェントは以下の記事でくわしく紹介しています。
メリットだけでなくデメリットも踏まえて解説していますので、民間企業転職を考えている方は是非参考にしてみてください。
【まとめ】大学と企業の年収は1.5倍以上差がつく場合も!
本記事では、民間企業転職前後の年収情報を内訳別(給料・ボーナス・福利厚生)で解説してきました。
大学・特任助教 | 企業・研究員 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
29歳 (概算) | 30歳 (概算) | 31歳 (概算) | 29歳 (実績) | 30歳 (実績) | 31歳 (実績) | |
給料 (基本給/業績給/残業代) | 360万円 | 360万円 | 360万円 | 353万円 | 432万円 | 768万円 |
ボーナス | 0万円 | 0万円 | 0万円 | 76万円 | 138万円 | 182万円 |
福利厚生 (家賃補助/有給/健康補助) | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 68万円 | 73万円 | 351万円 |
合計 | 363万円 | 363万円 | 363万円 | 497万円 (約1.4倍) | 643万円 (約1.8倍) | 1301万円 (約3.6倍) |
特にボーナスや福利厚生の差が大きく開き、企業転職後は大学在籍時と比較して1.4~3.6倍もの年収差がつく結果となりました。
民間企業転職は、年収の他にも任期や勤務時間の点で優れている場合が多いので、そのような情報を踏まえて一度あなたの将来のキャリアを見つめ直してみてはいかがでしょうか?
転職を支援してくれる専門サービスも存在します。
職務経歴書へのアドバイスや面談対策、日程調整まで細かにサポートしてくれますので、本気で転職を考えている人は是非調べてみてくださいね
以上で、民間企業転職前後の年収情報の紹介は終わりです。
質問等ありましたら、問い合わせフォームもしくはTwitterからお問い合わせください。
お疲れ様でした!