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ポスドク・助教を辞めて民間企業に転職しようとされておられる方の中には、「転職面談ではどのようなことが聞かれるんだろうか?」と不安に思われている方も多いと思います。
初めての民間企業転職となると転職面接で聞かれる質問も想像しづらく、またどのように回答すれば正解なのかもわからないため不安に感じますよね。
この記事では、そんな気になる民間企業転職時に実際によく聞かれた質問とその回答方針についてわかりやすく解説していきます。
本記事を読むことで、民間企業転職で失敗しないための面接のコツを知ることができますよ。
民間企業の転職面接でよく聞かれた質問 (研究職の場合)
それでは、ポスドクから民間企業へ転職する際の面接でよく聞かれた質問を一緒に見ていきましょう。
私がよく聞かれた頻出質問は以下の5つです。
頻出質問①:「将来的にこの研究テーマから外れてしまったときにはどうしますか?」
ポスドクから民間転職する際の面接でよく聞かれた質問の1つ目は、「将来的にこの研究テーマから外れてしまったときにはどうしますか?」です。
この質問は本当に良く聞かれましたね
企業の研究部門で働いていると、
- 研究テーマが会社方針で中断することになった
- 研究テーマは存続するが、人材配置の都合から別部署に移ってほしい
- 研究部門を切り離し、他社へ売却することになった
など、常に研究テーマ変更の可能性に晒されます。
大学だと自分の意志が揺らがない限りはテーマ継続できる可能性がありますが、企業だとそうもいかないですよね…
数年で担当する研究テーマを変えなければならない可能性がある以上、企業人事もそこを踏まえた上で採用人材を選考する必要があります。
そのような企業側の懸念点を踏まえた上で、求職者側としてはある程度テーマ変更や部署異動を受け入れるという姿勢を見せることが採用に近づけるポイントになります。
また、そのようにテーマ変更を受け入れられる根拠として、
- 研究テーマの方針転換
- 新テーマ設立
などに携わってきたというエピソードを話せると説得力が増しますね。
頻出質問②:「これまでに”研究以外”で取り組んだ活動を教えてください」
ポスドクから民間転職する際の面接でよく聞かれた質問の2つ目は、「これまでに”研究以外”で取り組んだ活動を教えてください」です。
企業では、他部署と調整しながらのプロジェクト進行や全社活動など、メインの研究活動以外の業務も多いです。
大学の場合は、学生を育てて、実験をたくさん回して、論文を大量生産すれば助教、准教授、教授に昇進できてしまう可能性があります。
確かに、授業や大学運営を真面目にしていなくても、研究活動で成果を出し続けて教授になっていった先生も何人かいましたね
ただ、会社の場合はそうもいかず、必ず研究以外のサブ的業務も真面目にこなし、最終的にチーム全体のマネジメントまでできるようにならないとなかなか昇進させてもらえません。
昇進できないということはつまり「会社として本当に欲しい人材でない」とも捉えられます。
そのような企業側の懸念点を踏まえた上で、求職者側としては研究以外の業務も卒なく確実にこなせると伝えることが採用に近づけるポイントになります。
そのようなエピソードを振り返って考える際には、企業でも活かせる「普遍スキル」をアピールできるかどうかで判断すると良いでしょう。
- マネジメント能力(研究遂行、社内調整、部下管理)
- スケジュール管理能力
- 文書作成能力
- プレゼン力
- 教育能力
- 調査力、先見性
etc…
引用:【ポスドク・助教】民間企業転職におすすめの転職エージェント6選!博士人材の専門性を活かしてくれるのは?【メリット/デメリット】
このようなスキルがあると判断できれば、企業でも十分に活躍できる人物だと評価できます。
例えば、1つの物事を大人数で強調しながら成し遂げたエピソードがあると、あなたのポテンシャルの高さを伝えやすいのでおすすめです。
頻出質問③:「特許執筆の経験はありますか?」
ポスドクから民間転職する際の面接でよく聞かれた質問の3つ目は、「特許執筆の経験はありますか?」です。
民間企業の研究部門では、特許が最も重要な評価実績となります。
アカデミアでは論文の質と量が重要だったのと同じような形で、民間企業では特許の質と量が最重要です。
分野にもよるかもしれませんが、企業の研究部門で論文を書く機会はほとんどありません。その代わり、特許については厳しく成果を要求されます
もちろん、入社後に受けられる特許に関する教育コンテンツは非常に充実していますので、執筆経験がなくても問題はありません。
ただし、中途採用で年齢が高ければ高いほど即戦力が求められますので、特許執筆経験の有無もシビアに見られる可能性が高まります。
そのような企業側の懸念点を踏まえた上で、求職者側としては少なくとも特許の重要性に対する理解があることをアピールすることが採用に近づけるポイントになります。
もちろん、特許執筆経験があればそれだけで大きなアピール要素になりますが、全員が経験有りとは限りません。
ですので、少なくとも自分の中で「企業での研究では特許が重要である」ことに理解を示し、入社後に真剣に取り組む姿勢を見せることが重要なのです。
頻出質問④:「学生へ教育する際に気をつけていることを教えてください」
ポスドクから民間転職する際の面接でよく聞かれた質問の4つ目は、「学生へ教育する際に気をつけていることを教えてください」です。
民間企業の研究部門に専門職で採用される場合、将来的にはマネジメントもできるポテンシャルを持った人だと評価されて採用されていることになります。
マネジメントをする際、部下の教育や目標管理がしっかりとできるかどうか?は企業としては重要な懸念ポイントです。
大学、企業で多くの方とお話してきましたが、教育への姿勢にはその人の人柄が強く現れていることが多い印象です。
マネジメントできるかどうか以外にも、人間性も判断することができる良い質問だと思います
そのような企業側の懸念点を踏まえた上で、求職者側としては教育に対する真剣な姿勢と、経験に基づく自分なりの意見を伝えることが採用に近づけるポイントになります。
お酒の席などでは、企業、大学によらず「教育は面倒くさい」とか「適当にしている」などのような話を、教授や上司から聞くこともあります。
しかし、少なくとも転職面接では教育に対する真剣な姿勢を見せる必要があるでしょう。
また、当たり障りのないような話をしてもプラス評価にはなりにくいです。
あなたの教育経験に基づく自分なりの教育の軸や気をつけているポイントなどを伝えられると、あなたの管理者としてのポテンシャルが高く評価されますよ。
頻出質問⑤:「あなたが使える分析装置や計算手法などは何がありますか?」
ポスドクから民間転職する際の面接でよく聞かれた質問の5つ目は、「あなたが使える分析装置や計算手法などは何がありますか?」です。
企業、大学によらず、研究部門ではある程度以上の専門性を持った人で、関連する評価装置、実験器具、計算手法などを使いこなせる人をほしいと思っています。
特に企業の研究部門では、その分野に詳しくない人がマネージャーやアドバイザーになっていることも少なくなく、しっかりと知識があり、手も動かせる人は大変貴重な存在です。
言い方は悪いですが、企業には大学以上に「口だけおじさん」が多いなあという印象があります…。
そのような企業側の懸念点を踏まえた上で、求職者側としては問題なく関連装置や計算手法を使いこなせることをしっかりとアピールすることが採用に近づけるポイントになります。
ポスドクや助教になったあとでも、実験や計算を全て学生に投げるのではなく自分自身でも手を動かして研究していた、という当たり前のようなエピソードも、企業にとっては大変魅力的に映ります。
しっかりと自分の専門性をアピールすれば良いので、自分の分野とマッチする研究部門であれば答えやすい質問ですね
転職面接で意外と聞かれなかった質問
逆に、面接対策で準備していったけれど意外と質問されなかった”お蔵入り質問”も参考のため紹介します。
主なお蔵入り質問は以下の3つです。
お蔵入り質問①:論文内容の深掘り
ポスドクから民間転職する際の面接で意外と聞かれなかった質問の1つ目は、「論文内容の深掘り」です。
専門性のマッチングがもっとも重要だと考えていましたので、私自身が書いた論文の深掘りにも対応できるように準備を進めていました。
しかし、結局論文の内容について深く掘り下げて質問されることはありませんでした。
今思うと、企業側としては私自身が何をしてきたかを全て知ってから判断したいわけではなく、企業側がほしいと思っているスキル等をピンポイントで確認するほうが手っ取り早いのだと思います。
こうやって文章にしてしまえば、企業側が研究内容を深掘りしなかった理由も納得できます。
ただ面接準備の段階では、とにかく自分のやってきたこと、出来ることは全て説明しないといけないと思いこんでいましたね。
お蔵入り質問②:研究費の獲得実績について
ポスドクから民間転職する際の面接で意外と聞かれなかった質問の2つ目は、「研究費の獲得実績について」です。
大学の感覚だと、どれだけ自分自身で研究費を獲得し、研究を深く広く展開していくかが重要だと感じていましたので、研究費についても何かしら聞かれるだろうと考えていました。
しかし、研究費についても結局質問されることもありませんでした。
研究費獲得に必要となる、
- 過去の結果に基づく新規研究プランの構築
- これまでの自分自身の研究業績
は、特に若手の企業研究員には要求されません。
そういった意味で、正直企業側はあえて質問しなかったというよりも、本当に興味がないのだろうと思います。
逆に言えば、研究費獲得実績があまりない方でも、企業研究員に採用される可能性は十分にあるといえますね
お蔵入り質問③:研究内容の将来に対する考え方
ポスドクから民間転職する際の面接で意外と聞かれなかった質問の3つ目は、「研究内容の将来に対する考え方」です。
その研究に将来性があるのかどうか?は、企業にとっても大学研究者にとっても死活問題だと思います。
企業であればなおさら将来性のないテーマへの投資はNGですもんね
しかし、以外にも研究テーマの将来性についても質問されませんでした。
これも先程の理由と被るところもあるのですが、企業研究では若手の考える将来プランよりも経営層が考えてトップダウン的に研究テーマが決まることがほとんどです。
そのため、少し過激な言い方をすれば、上が決めた研究方針を揺さぶるような意見は聞きたくないということなのかな?と勝手に想像して納得しました。
現在40歳前後の助教や准教授の方であれば、すぐに管理職として出世し研究方針に意見できる立場になるります。
ですので、もしかしたら転職面談の時点で、将来の研究構想について聞かれることもあるかもしれませんね
【ポスドク・助教】民間企業への転職を成功させるには?
ここまでで、ポスドク・助教が民間企業転職時に実際によく聞かれた質問とその回答方針をくわしく紹介してきました。
企業転職面接の注意点はよく理解できました。
その他には具体的にどのように行動すれば企業転職を成功させることができるのでしょうか?
現在ポスドク・助教をされておられる方が、民間企業転職を成功させるコツは以下の4点です。
- 【時間の確保】他人を活用して効率的に動くべし
- 【求人探し】非公開求人を探すべし
- 【職務経歴書】企業に受け入れられやすい言葉に「翻訳」すべし
- 【面接対策】企業側の懸念点を理解し面接官を安心させるべし
特に、民間企業の研究職への転職を考えている人は「非公開求人」を徹底的に探すことが重要になります。
大衆向けの就活・転職サイトに登録されている求人を確認したことがある人は多いと思いますが、実はそれらの公開求人の他に、大々的には公開していない非公開求人というものが存在しています。
研究職ポジションなどの専門性が高い職種は、競合企業に内部戦略を知られないように求人を完全公開しないことが多いのです。
非公開求人というものがあるんですね!?
でも、どうやって探せばよいのでしょうか?
非公開求人を確認するための一つの方法は、直接企業に問い合わせてみることです。
もしあなたが、学会や特許情報などを通じて「この企業はこの研究をしているはず」という情報を掴んでいるのであれば、履歴書とともに直接企業に問い合わせることで非公開の求人情報を入手できる可能性があります。
ただ、やはり1社1社直接企業に問い合わせるのも非常に骨の折れる作業になります。
効率的に非公開求人情報を手に入れるには、「転職エージェント」が持っている非公開求人リストを入手するのがおすすめです。
転職エージェントは各企業とマッチングする求職者にだけ求人情報を提示していることから企業と親密な関係を築いることが多く、秘密性の高い非公開求人情報を多数保有しています。
優秀な人材を多数紹介してきた転職エージェントへの信頼性の高さによって、企業側も非公開求人という秘匿性の高い情報を特別に渡しているのですね
そのような非公開求人情報を手に入れられるだけでなく、職務経歴書の添削や面談対策まで、徹底してあなたの転職活動をサポートしてくれます。
ここまで手厚くサポートしてくれる転職エージェントですが、企業からの報奨金で運営しているため転職希望者は完全無料で利用できます。
完全無料で利用できますので、今すぐに民間企業転職を考えてなくても「良い求人が出てきたら紹介してください」とエージェントに依頼しておくのもよいですね
アカデミア出身者 (ポスドク・助教・准教授)に おすすめの転職エージェントは以下の記事でくわしく紹介しています。
メリットだけでなくデメリットも踏まえて解説していますので、民間企業転職を考えている方は是非参考にしてみてください。
【まとめ】民間企業側の懸念点を解消する転職面談にしよう!
本記事では、ポスドク・助教が民間企業転職時に実際によく聞かれた質問とその回答方針についてくわしく解説してきました。
まずは、転職活動時に実際に聞かれた頻出質問とその回答方針を解説しました。
- 将来的にこの研究テーマから外れてしまったときにはどうしますか?
- これまでに”研究以外”で取り組んだ活動を教えてください
- 特許執筆の経験はありますか?
- 学生へ教育する際に気をつけていることを教えてください
- あなたが使える分析装置や計算手法などは何がありますか?
次に、面接準備で用意していたけれど意外と質問されなかった“お蔵入り質問”を参考として紹介しました。
ポスドクや助教の民間企業転職では、いかに企業側が抱いている懸念点を払拭してあげられるかが転職成功の鍵となります。
企業の本音として、「アカデミア出身者は扱いにくい」と感じている部分がありますので、その心配事をうまく先回りして解消することができれば、志望の研究ポジションを獲得し企業研究者として活躍できる可能性は高くなります。
本記事の内容を参考に、企業転職を成功させるための第一歩を踏み出してみてください
その他にも、民間企業転職を成功させるためのコツを以下の記事で紹介しています。
転職を支援してくれる専門サービスも存在します。
職務経歴書へのアドバイスや面談対策、日程調整まで細かにサポートしてくれますので、本気で転職を考えている人は是非調べてみてくださいね
以上で、ポスドク・助教が民間企業転職時に実際によく聞かれた質問とその回答方針の解説は終わりです。
質問等ありましたら、問い合わせフォームもしくはTwitterからお問い合わせください。
お疲れ様でした!