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現在大学で働いているポスドクや任期付きの助教の人の中には、新たな研究環境を求めて民間企業への転職を考えている人もおられると思います。
民間企業の待遇面の良さは聞いたことがあっても、実際に民間企業に移ろうと思うとそれはそれで不安に感じることもあり、なかなか簡単には転職を決めきれませんよね。
この記事では、ポスドク1年目でアカデミアから企業に移った私自身が「アカデミアを離れよう」と思い始めた理由をくわしく紹介していきます。
あなたがなんとなく抱いていた不安と重なる部分があれば、もしかしたら企業転職がより良い選択肢になるかもしれませんね。
転職後の現在、私自身は「思い切って企業に移って良かった」と感じています
【ポスドク】私がアカデミアを離れた理由
私自身がポスドク1年目でアカデミアを離れた理由は以下の5点です。
理由①:【任期】任期付きの雇用形態に不安を感じたから
ポスドク1年目でアカデミアを離れた理由の1つ目は「任期付きの雇用形態に不安を感じたから」です。
私がポスドク(特任助教)として採用されたのは、3年間の任期付きのポジションでした。
テニュアトラック制度に該当しなかったため再雇用の可能性はゼロです。
それでも、博士課程修了のタイミングだったということもあり、採用直後は特任助教になれたことを嬉しく感じていました。
しかし、冷静に今後のキャリアを考えたときに、「今後確実にアカデミックの世界で生き残っていける保証は無い」ということに対して危機感を感じるようになりました。
特にアカデミアは限られた少ないポジションを優秀な研究者が奪い合う、非常に厳しい世界であることはご存知の通りです。
200倍を超えるような公募も珍しくないと聞いたことがあります…
そのような状況を冷静に考える中で、
- 凡人の私がポジション争いを勝ち残っていけるのか?
- そもそもどこかで精神的に限界が来てしまうのではないか?
という心配が大きくなっていきました。
そして最終的には、任期の無い民間企業転職を決めることになります。
理由②:【年収】民間企業の給料や福利厚生が羨ましかったから
ポスドク1年目でアカデミアを離れた理由の2つ目は「民間企業の給料や福利厚生が羨ましかったから」です。
博士学生の頃までは、民間企業と大学との間に待遇面の違いについては、しっかりと調べたことはありませんでした。
というのも、「アカデミアは生き残りが厳しい分待遇も良いはずだ」というイメージから、給料も大学のほうが良いだろうと信じていたからです。
ですが、特任助教に採用されたあとにその考えが間違っていたのだと気づきます。
自分自身がもらっている特任助教の年収と、民間企業に入社した同期や後輩の年収を比較したときに、1.5倍以上の大きな差があることに気が付いたのです。
福利厚生も企業のほうが充実しており、次第にその待遇の手厚さが羨ましく感じるようになりました。
いくら好きな研究ができると言っても、ある程度余裕のある給料はもらいたいですよね…
研究職として民間企業でも研究ができるのであればなおさらです。
理由③:【独自性】教授の後追いに見られ続けるのが辛かったから
ポスドク1年目でアカデミアを離れた理由の3つ目は「教授の後追いに見られ続けるのが辛かったから」です。
これは特任助教になり、自分自身で研究費を申請する中で感じたことです。
研究費の採否連絡と同時に、審査時の評価内容をフィードバックしてもらうことがあります。
その際に、
- 「教授との違い、オリジナリティが薄い」
- 「教授の後追い研究なのである程度の結果は出るでしょう。しかし…」
のようなコメントを受けることが何回かありました。
独自性が無いという外部からの評価は、アカデミア研究者であること自体を否定されたようで辛く感じたことを覚えています
その申請テーマは、修士時代から自分自身で立ち上げて育ててきたテーマだったので、どうしても「オリジナリティが無い」というコメントに完全に納得することができませんでした。
もちろん今では、研究室で自由に実験させてもらえていたことも、私のアイデアに対して研究費を出してくれていたことにも感謝しており、教授の研究運営がもたらした成果であると思います。
それでも当時は、「このままこの研究室に残っていると自分自身のオリジナリティとして他人に見られることは当分無いんだ」と感じ、大きく環境を変えなければいけないと決意しました。
民間企業での研究経験を積むことで、もともと持っていた専門性に加えて「企業経験」という2つ目の軸を立てることができると考えたのです。
理由④:【実用化】自分の研究が社会に役立つ実感が欲しかったから
ポスドク1年目でアカデミアを離れた理由の4つ目は「自分の研究が社会に役立つ実感が欲しかったから」です。
私は研究開始当初から、原理原則の探究よりも、社会に役立つ製品、材料を作る実用化の部分に喜びを感じるタイプでした。
研究に対するモチベーションは人によって全然異なりますよね
ポスドクまで大学で基礎的な研究している中で、
- 実用化可能な数値目標に対して現実が離れすぎている…
- 数値目標を達成したとしても、本当に将来企業で使われる技術になるのだろうか?
というように、「本当にこの研究の先に実用化があるのだろうか…?」と疑問に感じることが多くなってきました。
大学のときは、オリジナリティをアピールするために、実用化の可能性を無視して研究を続けなければならない部分がありました
企業研究では、より良い方法を常に探究し続けるイメージがありますね
理由⑤:【成長】自分の成長が止まってしまうような感覚に陥ったから
ポスドク1年目でアカデミアを離れた理由の5つ目は「自分の成長が止まってしまうような感覚に陥ったから」です。
大学で日々の実験や後輩指導をし続けていましたが、いつからかを境に「このまま大学で研究を続けていたら、自分自身の成長は望めないのではないか?」と考えるようになりました。
はっきりとした理由はまだ整理できていませんが、
- 実験、解析、学会発表、論文投稿などの各仕事に慣れてルーティンワーク化してしまっていた
- 学生に指導することで、自分はすでに該当分野をマスターしているかのような錯覚に陥っていた
- アカデミックという慣れた環境で新しい刺激が少なかった
などの要因があるのではないかと考えています。
20代で成長が止まっているかのような感覚を覚えていることに危機感を覚え、新たな環境(企業転職)をすることを考え始めたのです。
【ポスドク・助教】民間企業への転職を成功させるには?
ここまでで、私自身が「アカデミアを離れよう」と思い始めた理由をくわしく紹介してきました。
私自身が抱いていた転職に対する不安と一致する部分もあり企業転職も選択肢に入れたいと思いはじめました。
具体的にどのように行動すれば企業研究所への転職を成功させることができるのでしょうか?
現在ポスドク・助教をされておられる方が、民間企業転職を成功させるコツは以下の4点です。
- 【時間の確保】他人を活用して効率的に動くべし
- 【求人探し】非公開求人を探すべし
- 【職務経歴書】企業に受け入れられやすい言葉に「翻訳」すべし
- 【面接対策】企業側の懸念点を理解し面接官を安心させるべし
特に、民間企業の研究職への転職を考えている人は「非公開求人」を徹底的に探すことが重要になります。
大衆向けの就活・転職サイトに登録されている求人を確認したことがある人は多いと思いますが、実はそれらの公開求人の他に、大々的には公開していない非公開求人というものが存在しています。
研究職ポジションなどの専門性が高い職種は、競合企業に内部戦略を知られないように求人を完全公開しないことが多いのです。
非公開求人というものがあるんですね!?
でも、どうやって探せばよいのでしょうか?
非公開求人を確認するための一つの方法は、直接企業に問い合わせてみることです。
もしあなたが、学会や特許情報などを通じて「この企業はこの研究をしているはず」という情報を掴んでいるのであれば、履歴書とともに直接企業に問い合わせることで非公開の求人情報を入手できる可能性があります。
ただ、やはり1社1社直接企業に問い合わせるのも非常に骨の折れる作業になります。
効率的に非公開求人情報を手に入れるには、「転職エージェント」が持っている非公開求人リストを入手するのがおすすめです。
転職エージェントは各企業とマッチングする求職者にだけ求人情報を提示していることから企業と親密な関係を築いることが多く、秘密性の高い非公開求人情報を多数保有しています。
優秀な人材を多数紹介してきた転職エージェントへの信頼性の高さによって、企業側も非公開求人という秘匿性の高い情報を特別に渡しているのですね
そのような非公開求人情報を手に入れられるだけでなく、職務経歴書の添削や面談対策まで、徹底してあなたの転職活動をサポートしてくれます。
ここまで手厚くサポートしてくれる転職エージェントですが、企業からの報奨金で運営しているため転職希望者は完全無料で利用できます。
完全無料で利用できますので、今すぐに民間企業転職を考えてなくても「良い求人が出てきたら紹介してください」とエージェントに依頼しておくのもよいですね
アカデミア出身者 (ポスドク・助教・准教授)に おすすめの転職エージェントは以下の記事でくわしく紹介しています。
メリットだけでなくデメリットも踏まえて解説していますので、民間企業転職を考えている方は是非参考にしてみてください。
【まとめ】あなたにあった環境で研究活動を続けよう!
本記事では、ポスドク1年目でアカデミアから企業に移った私自身が「アカデミアを離れよう」と思い始めた理由をくわしく解説してきました。
- 【任期】任期付きの雇用形態に不安を感じたから
- 【年収】民間企業の給料や福利厚生が羨ましかったから
- 【独自性】教授の後追いに見られ続けるのが辛かったから
- 【実用化】自分の研究が社会に役立つ実感が欲しかったから
- 【成長】自分の成長が止まってしまうような感覚に陥ったから
ポスドク1年目という早いタイミングで転職を決意しましたが、修士課程の頃から抱いていた違和感や不安が積み重なっていた部分もありましたので、自分にとっては限界だったのかもしれません。
民間企業に転職した後の現在は、年収の高さや福利厚生の充実度、雑務の少ない研究環境に満足しながら研究を続けています。
もちろん、アカデミアのほうが良かったなと感じる部分もありましたが、そういった比較も含め、自分自身が成長するための経験だと思いながら日々過ごしています。
現在アカデミアで研究に尽力されておられるあなたも、
- 自分が成長できる環境はどういったところなのか?
- 満足して働ける場所はどこか?
を考えて、今一度あなたのキャリアのあるべき姿を考えてみてください。
以上で、私自身がアカデミアを離れた理由の解説は終わりです。
質問等ありましたら、問い合わせフォームもしくはTwitterでからお問い合わせください。
お疲れ様でした!